<< ドガ展@横浜美術館 | main | 「らーめん潤」(蒲田) >>

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - | - |

「日の名残り」(カズオ イシグロ)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)
カズオ イシグロ
早川書房
売り上げランキング: 7140

The Remains of the Day, 1989.

わたしを離さないで』が面白かったので読む。クリスティの『春にして君を離れ』(1945)的な心理サスペンス。

これも面白かった。『わたしを離さないで』(2005)は、SF的な要素がプロットのベースとなっていたのに対して、本作は20世紀英国の執事を主人公としている。舞台装置は大きく異なるが、心理サスペンスとしての作りには相通じるものがある。登場人物のメンタル構造を作り込んでからドラマに流し込んで描写するような感じ。

主人公はダーリントンホールというお屋敷の執事スティーブンス。主人が米国に旅立ち不在の期間に休暇をもらい、かつて女中頭だったミス・ケントに会いに英国内を6日間に渡って旅する。全編、スティーブンスの独白で語られる。

最初のうちは、「品格」について内省し自己洞察する彼の独白のうちに、謹厳で有能な執事像が浮かび上がってくるが、旅が進むうちにだんだん様子がおかしくなってくる。彼の心理状態は自己韜晦とも云うべきもので、ミス・ケントと会う5日目をもって、心理的には破綻する。Wikipediaのあらすじはさわやかな感じで、あらすじとしては大きく間違っちゃいないのだが、決定的に間違っている。

彼の自己韜晦と自己簒奪はグロテスクで恐るべきものだが、それでも分別という点で立派だとも思う。歳が行ってから読んだ方がおもしろい(恐ろしい)と思う。おもしろかった。

| 読書 | comments(1) | trackbacks(0) |

スポンサーサイト

| - | - | - |
コメント
映画『日の名残り』を調べていてこちらにたどりつきました。とても感動した作品の一つです。これといった大きな事件が起こるわけではありませんが、映画が進むにつれて、じわじわと心に染み入るような作品でした。

>Wikipediaのあらすじはさわやかな感じで、あらすじとしては大きく間違っちゃいないのだが、決定的に間違っている。


大変興味をもちました。『わたしを離さないで』とともに小説を是非読んでみたいと思いました。ご紹介に感謝です。
| ETCマンツーマン英会話 | 2013/10/08 2:04 PM |



この記事のトラックバックURL
http://msugai.jugem.jp/trackback/978
トラックバック
CALENDAR
Sun M T W T F Sat
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< June 2017 >>
WATCH
SEARCH THIS BLOG
LATEST ENTRIES
CATEGORIES
SELECTED ENTRIES
RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACKS
Twitter
MY WEB SITES
PROFILE
ADMIN
MOBILE
qrcode
ARCHIVES
SPONSORED LINKS